東京電力は25日、福島第一原発2号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出し作業を28日に再開すると発表した。取り出し装置先端のカメラ映像が確認できなくなるトラブルがあり、作業は1カ月以上中断していた。

 東電は9月10日、取り出しに着手。取り出し装置を原子炉格納容器に挿入し、動作確認などをしていたが、同月17日以降、装置先端のカメラ2台の映像が確認できなくなった。

 東電は装置を格納容器から引き抜き、今月17~18日に先端のカメラ2台を予備のものと交換。映像が復旧したという。カメラの映像が確認できなくなった原因はわかっていない。

 東電は、放射線量が高い格納容器内でカメラの電源を切っている間に電気がたまったことが原因と推定。今後は電源を入れたままにして、装置の挿入から燃料デブリをつまみ上げるまでは休養日を入れずに作業することで、再発防止をはかる。これまでは3グラム以下の取り出しに約2週間かかるとしていたが、期間は短くなる見込みという。

 東電は「安全を最優先に緊張感をもって取り組む」としている。

 福島第一原発1~3号機には燃料デブリが推計880トンある。事故から13年半が経ったいまも手つかずで、詳しい組成や硬さはわかっていない。東電は、まず2号機から3グラム以下の燃料デブリを取り出して分析し、今後の取り出しや保管方法の検討に生かすとしている。(福地慶太郎)

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